【独占密着取材】 なぜ彼はアンチになったのか?Vtuberが救えなかった男達
この記事は298プロアドベントカレンダーの12/22分の記事でございます。
※注意!
アイマスの同好会のアドベントカレンダーで関係ない、しかも嫌いなものについて書くのはどうなんですかって思った方はこの先見ない方がいいです。
あとVファンの方も見ない方がいいです。不快な気持ちになったとき責任取れません。
お気持ちツイートされても「注意書き読んでなお読んだお前のせい」「知らんがな」以外の返答は致しかねます。
twitter等で共有してフォロワー減っても私にはどうすることもできませんのでご注意ください。
倫理観捨ててますって人だけ見てください。よろしくお願いします。
それでは、VTRスタート。
近年、いわゆる「オタク」達の間で爆発的な流行を見せているのが、"Vtuber" と呼ばれるコンテンツである。*1
本記事公開時点でも、美少女美男オカマに怪物、企業に属するものから個人で運営するものまで多種多様なVtuberが存在し、今やオタクなら1人は推しVtuber(推しV)がいるとまで言われるほど巨大なコンテンツとなっている。
しかし、オタク界の共通言語に等しいこのコンテンツにもアンチが存在するというのだから驚きだ。
我々は、そんなVアンチの一人である某県在住の大学生に、1日にわたる密着取材を行った。今からその一部始終をご覧いただこう。
AM9:00 某県某所
おはようございます。森久保さんですか?
はい。そうです。おはようございます。
今回取材に協力していただくのは、乳首大学(仮)の学生である森久保さん(仮名)。彼はオタクでありながらVtuberを憎む、いわゆるVアンチであるとのこと。
まずは簡単に、「Vtuber」のどこが嫌いか教えてください。
そうですね。どこが、と聞かれると少し困ってしまいますが……ざっくり言ってしまうと、「最近のVtuber、特に生配信を主とするVtuberとその界隈全般」ですかね。
生配信というと、にじ〇んじやホロラ〇ブでしょうか?
一応濁したんですけどね(笑)。その通りです。
ありがとうございます。本日はそんな森久保さんの一日に密着しつつ、Vtuberアンチの謎を探っていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
取材班と和やかに会話する森久保さん。その姿は、Vtuberに恨みを持っているようには見えない。一抹の不安を抱きながらも、我々は森久保さんの自宅へと向かった。
AM10:00 森久保さんの自宅
今日は休日の森久保さん。帰宅後すぐにYoutubeを開いてくつろぎ始めた。
普段はどんな動画を見るんですか?
基本的にゲーム実況、配信ですね。動物系のもたまに。
そういうと森久保さんは、イカのキャラクターがインクを飛ばしあうゲームの実況動画を見始めた。チャンネル登録済みのお気に入りらしい。オタクらしい少々気味の悪い笑みを浮かべている。
Vtuberの動画は見ないんですか?
見ませんよ。アンチですからね、一応(笑)。
普通の実況者とか配信者しか見ません。
ですが、今時Vtuberもゲーム配信してますよね?なぜVtuberだけ……?
一番は見ててつまんないからですね。可愛い絵がついてても肝心の実況とかトークが面白くない。コメントとかの雰囲気も苦手です。オタサーの姫を持ち上げるオタクみたいで。
ただ、これは私が見たことある範囲での話なので……中には私が見ても面白いと感じる人もいるんじゃないですかね。
昔は見てたんですか?
ええまぁ。まだキズナ〇イとかミライ〇カリがトップ走ってた頃に、物珍しさで見てました。全然続きませんでしたけど。
あの時は、自分がここまでアンチになるとも思ってませんでしたね。
ありがとうございます。話だけ聞くと、アンチになるほどの恨みもなさそうですが……?
流石に「自分にとってつまらない」ってだけで恨んだり憎んだりはしませんよ(笑)。それはNot for meってだけですから。
森久保さんはそう言って笑うと、次の動画を再生した。
最近は、逆張り精神で加藤〇一さんの生配信とか切り抜きを見始めました。さすがにトップ配信者は違いますね、面白い。
ご機嫌な様子で動画に見入る森久保さんの姿は、いかにも平和に日々を過ごすオタクでしかなく、アンチたる激情はまったくもって見えてこない。
取材する相手を間違えたか……?と不安になった取材陣一同。しかしこの後、我々は彼の溜まりに溜まった鬱憤を目の当たりにすることとなる。
PM0:30 森久保さんの自宅
昼食を終えた森久保さん、一息ついたのち、日課だと語るTwitterを始めた。
うわ、アカウント多いですね。
7個あります(笑)。もちろん全部欠かさず見てるってわけじゃないですよ。いつも確認するのはメイン2、3個だけです。
それでも多い気はしますが……何故Twitterを?
友人とか知り合いと繋がるため、公式アカウントの情報確認のためっていうのもありますけど……一番は絵を見るためですね。好きなコンテンツのファンアートだったり、オリジナル作品だったり、漫画だったり。
あ、〇〇さん新しい絵あげてますね。今回も良い絵だ、RTしとこ。
ご満悦ですね。
そりゃね。これなきゃTwitterやってませんよ(笑)
おっ、△△さんも新しい絵あげて……。
どうしましたか?
……これ、Vtuberの絵ですね。
そう呟いた森久保さんは、即座に△△さんのアカウントのフォローをはずした。
フォロー外しちゃうんですか?
ええ。この人はアイ〇スの絵を見るためにフォローした人なんで。
またアイマ〇の絵も上げるかもしれませんよ?
そうですけど、大体急にVtuberの絵あげだした人ってその後Vtuberの絵ばっかになったりVtuberの話しかしなくなることが多いんで。最近はすぐフォロー外すようにしてます。
△△さんは大丈夫だと思ってたんだけどな……。
この時、取材開始から初めて、森久保さんの顔に陰りが見えた。
まぁ、もう慣れっこです。それに他にも良い絵を描く人はたくさんいますから。
森久保さんは、またタイムラインを眺め始めた。
あ、あとバッサリとフォロー外す理由はもう一個あるんですよね。
そう言うと、森久保さんはこちらにスマホの画面を見せた。
すごい数のRTですね。しかも一人でやってますし。
そうです。この人はいつもア〇マスの絵大量にRTしてくれるんですよね。だからさっきの△△さんがまたアイマスの絵あげたとしても多分この人がRTしてくれます。だからフォロー外しちゃいました。
この人は特別多いですけど、フォローしてる友人は大体絵RTしてくれるので、超気に入ってる人以外は絵を描く人フォローしとく意味もないんですよね。
あ、ほら××もRTしてますね。
えっ!?うわっ本当だ……。××の野郎いつの間にVtuberハマってたんだよ、うわまじか……。
やはりショックですか?
ショックというよりウンザリが近いですね。知り合いが一人また一人とVtuberにハマっていってタイムラインを占拠しだすんで。
なるほど……
さっき「自分にとってつまらない」ってだけでアンチにはならないって言いましたよね?あれは本当に思ってることではあるんですけど、これに「周りでどんどん流行ってその話ばっかするようになる」がプラスされるとちょっと話が変わってくるんですよね。
好きでもないものの話を四六時中目の当たりにするとなると、ど~しても鬱憤がたまってくるんですよ。人間なのでね。まぁTwitterばっかやってるのが悪いって言われちゃその通りなんですけど。
そう!まさにそんな感じです。
ただ鬼滅の刃のそれより厄介な点があるんですよ。
厄介な点……?
「鬼滅の刃」は一応一つの作品なんです。ゆえに"合わない"人も中にはいるよねって感じで、そんな人への配慮も多少はされやすい。キメハラ*3という造語もその表れですね。
ただ「Vtuber」は違います。アレは生配信タイプだけでも多種多様なキャラ、人?がいるじゃないですか。だから「こっちは合わなくてもこっちは合う」みたいな感じでハマりやすくて、どんどん「Vtuber」というくくりのコンテンツにファンが増えていく。
しかもVtuberハマるのオタクばっかりじゃないですか。だから「オタクだしみんなハマるでしょ~」とか「好きなV一人は見つかるでしょ~」みたいな雰囲気がオタクコミュニティーにできてくる。
これが最悪。ウザい。間口が広すぎるせいでV全体が嫌いなオタクは全然考慮されなくなる。多分向こうも善意で言ってるから申し訳ないし余計に最悪なんです。
な、なるほど……
あ、すいません。少し嫌な感じに喋りすぎましたか。
いえ、むしろこういう生の声をお伝えするためにやっていますので。大歓迎です。
ならよかったです。
Twitterを少し控えてみては?
イヤです。
先程までの和やかさとは一転、ヒリついた雰囲気が部屋を覆ったが、森久保さんは構わず話し続ける。
あとウザい点がもう一個あって、Vtuberってよく生配信するじゃないですか。それ自体は別にいいんですけど、配信の実況Twitterでするオタクの多いこと多いこと。私の我儘だというのは理解してるんですけど、あれマジで目障りなんですよ。「可愛いw」とか「そこは違うだろw」とか「えろw」とか。普通に配信のコメントでやりゃいいじゃねえかよって思うんですよね。コメント用のハッシュタグとかある場合はそのタグミュートワードにぶち込んで終われるんですけど、タグ付けないでやってるやつはマジでナニモンなんだ。無いのか?タグ。じゃあなおさらyoutubeでコメントしろや。しばくぞ。って感じで。
キレッキレですね。
キレたくもなりますよ。Vtuberって基本スパチャ*4しか読まないから後のエゴサで拾ってもらおうとツイートにしてたりするんですかね、偏見ですけど。もしそうだとしたら黙ってスパチャしとけやって感じです。
ただまぁ、ほとんどのオタクは配信の感想を自分で見返せるようにってところだとは思いますけどね。
森久保さんはそう締めくくると、話しつかれたという様子でベッドに入り昼寝を始めた。
ついにアンチの本領発揮といった様子で取材班としてうれしくはあったが、激情の裏に見え隠れする悲しみには同情の念を覚えていた。
PM4:00 森久保さんの自宅
眠りから覚めた森久保さんは、pixivというサイトの巡回を始めた。
何を探しているんですか?
二次創作小説です。最近ハマってるCP*5がありまして……。あ、これです。このタグのCPにはまってるんですよ。
なるほど、タグをクリックすればそのCPの作品だけを検索できるんですね。
そうです。Twitterと違ってVtuberが割り込むこともないですから、割と精神も安定しますね(笑)
先程の言動のせいであまり笑えない冗談を挟みつつも、穏やかな様子で小説を読み漁る森久保さん。Vtuberさえ絡まなければ害はなさそうなオタクといったところだ。
思ったんですが、題材が少し昔の作品ですね
そうですね。アニメの放映は2016年とかだったかな……まぁ、いい関係性に今も昔もありませんよ(笑)。
ご満悦だ。この様子だと、もう彼の激情は拝めないかもしれない。そう思った矢先の出来事だった。
この人、同じCPでたくさん書いてるなあ。これの投稿日は2018年3月、こっちは4月……このCPのはここで止まってるのか。今何書いてるんだろう……うわっ
あっ、それって……
この人、2019年からはVtuberのCP二次創作しか書いてませんね……見なきゃよかった……。
こんなこともあるんですね……。
そうですね。Twitterの時も言いましたけど、こういうことは割とあるんですよ。ただpixivで遭遇すると3倍くらい気が滅入りますね……。
何度もこんな経験をしてきたのか、今日一番苦い顔をしていた森久保さんは、少し間を置いた後こう口にした。
……あまり言いたくないことなんですけど、Vtuberの二次創作について嫌いなとこ言っちゃっていいですかね?
あ、ええどうぞ。我々は本音をお伝えしたいので、構いませんよ。
ありがとうございます。では話すんですけど、Vtuberって一応キャラクター設定みたいなのあるじゃないですか?建前では。
ありますね。王女だとか錬金術師だとか。
でも彼ら彼女らってまっったくキャラ守らないじゃないですか。中身全開と言いますか、キャラの皮被ってるだけと言いますか。そもそもそこが気に食わないんですけどそれは置いといて、Vtuberの二次創作って中身全面に出したやつとキャラ設定前面に出してるやつの2種類あるんですよ。どっちも嫌いなんですけど。
ずいぶん詳しいですね。
たまにVのそれだと気づかず見てしまうことがあるんでどうしても知ってしまうんですよね。せっかく何か専用のハッシュタグ設けてるV多いんだから全部タグつけてくれりゃいいのに。で、どちらも嫌い。
ただ前提としてほしいのは、嫌いっていうのは100%私の我儘であって書いたり楽しんだりしてる人は何も悪くないっていうことです。よろしくお願いします。
了解です。
まずキャラ設定前面に出してるやつ。実態は中身全開のアレなのに良くそんなキャラクターみたいな扱いできるな、お前ら何が見えてんだ目ついてんのか?ってなるから嫌いです。
中身全面に出してるやつはキャラのガワ被ってやってんのがイラつくから嫌いです。あとCP系の二次創作だと○○△△てぇてぇ……みてえな文言が一緒についてくるからさらにウザい。それナマモノ*6だぞ?中身歳食ったおばさんだぞ?正気か?ダウンタウンのまっちゃん浜ちゃんでも二次創作するタイプだろ絶対。ていうかお前が創作の根拠にしてる絡みだかなんだかは35000000%オタクから金巻き上げるための営業やんそれ、オタク君ちょろすぎだろ。ってなるから嫌いです。
特に百合*7系のやつに多いけどそれRTして尊い……とかツイートした口で俺の好きな百合コンテンツの尊さに言及されるのマッッッジで腹立つ。お前の中ではそれとV同レベルなん????一緒にしないでくんね???????????ってなって首引きちぎりそうになってしまうから嫌いです。本当に嫌いです。やめてください。
あと坊主憎けりゃ袈裟まで憎い理論でてぇてぇ……っていう表現もクソ嫌い。俺の好きなコンテンツにだけはその文言絶対使わないでほしい。只の我儘だけど。
鬱憤溜まってますね。
自分で言っててびっくりしました。こんなに切れてたんだな自分。
ただこれは全部私の我儘、楽しめない受け入れられない狭量な私が全部悪いので、そこだけはよろしくお願いします……。
大丈夫です。
オタク特有の早口で怒りのセリフをしゃべり終えた森久保さん。そこには少なからず自責の念もあるようだ。
……私がVtuber嫌いな理由の大部分は二次創作に関連してるんですよね。
ぜひ聞かせてください。
ありがとうございます。と言っても単純なことで、私が好きなコンテンツの二次創作を書いていた人が別の二次創作を書き始めると、結果的に私の楽しめるコンテンツが減るじゃないですか。
それが見たことないアニメだったり入れてないソシャゲだったらまだ諦めもつくし追ってみようかなって気にもなるんですけど、それがすでに見たことあってツマンない上に周りでは糞ほど流行ってる「Vtuber」の二次創作だから腹が立つしムカつくしウザいし嫌いになるんですよね。
Twitterの件も同じです。絵に限った話ではなく友人オタクのツイートがVに染まったら、それは私にとっては楽しめるコンテンツが減るのと同義なんですよ。
「私から楽しみを奪っていくVtuber許せない」
っていうクッソ我儘な感情がVtuberを嫌いにさせてるんですよね。理不尽極まりないとわかってはいるんですけど。
なるほど。ですが、実際に不利益を被っているのは確かなのが難しいところですね。
お気遣いありがとうございます。ただ、やはり我儘とコンテンツの偏食が直接の原因ではあるので、Vtuberアンチを自負してはいますが、人に何か言うのはなるべく避けています。オタク同士、仲良くやっていきたいですから。
森久保さんはそう言って笑ったが、こんな取材受けてる時点で破綻しているだろ……と取材班のだれもが思ったことはここだけの話である。
PM7:00 森久保さんの自宅
夕食を終えた森久保さん。腹ごなしに輪っか状のコントローラーを使ったゲームでできる筋肉トレーニング*8をするらしい。
毎日やっているんですか?
いえ、3日坊主を1週間おきに繰り返してます(笑)。今日は少し負の感情を出しすぎたので、運動でリフレッシュしようかなと思いまして。
なるほど。そういえば、一時期のVtuberもこぞってそのゲームやってましたよね。
確かにそうですね。最近はてんで見なくなりましたけど。
これはVtuberに限った話ではないですけど、配信者の方々は話題のゲームにこぞって集まる習性がありますよね。そして話題性が収まったらまた別のゲームへ……といった感じで。彼らも仕事なので、数字取るためにある程度は仕方ないんだろうとは思いますが、ゲーム好きの身としては、もっと一作をやりこんでみてもいいんじゃないかなとは思います。
甘口ですね。
そうでしょうか(笑)。まあ私は彼らの客じゃないですからね。強く言っても仕方ないです。それに、見てる人たちはそういうのを楽しんでるみたいですからね。
先までの発言のせいで信用できないとは思いますが、Not for meの精神は大事にしてます。
スクワットで足をプルプルさせながら笑う森久保さん。しかし、先までの激情がちらついて全然信用できないのが悲しいところだ。
ただ、そうですね……彼らのお金稼ぎの仕方には少し思うところはありますね。
思うところ、ですか?
ええ。彼らってオタクからのスーパーチャット……コメント付き投げ銭からも結構なお金を稼いでいるじゃないですか。たまにトンデモなく気持ち悪い文章が添えてあったり。
SNSでたまに回ってくる奴ですね、
そうそう(笑)。ああいうガチ恋勢に対して「推しからのレス」を餌に高額の投げ銭を誘うやり口がど~しても好きになれない。まぁ、オタクの自己責任……自業自得とも言えますけど、お金の使い方本当にそれでいいの?って言いたくなっちゃいますよね。
名前読んでもらって一言二言返事してもらう、それにウン万円払うって。よくスパチャを介したVtuberとオタクのやり取りが「陰キャのキャバクラ」「チー牛キャバクラ」なんて揶揄されたりしますけど、キャバクラどころの話じゃないよこれ。DV男にパチスロ代貢ぐメンヘラ女と同レベルだよ。数万円あったらゲーム買えんじゃんとかそういう話じゃなくて、ひと月ふた月の食費くらい、週3でバイトしてる人のひと月の給金くらい。それくらい大きい金額だってわかって貢いでるのかなって。仕送りをそのまま投げ銭にしてるとかならその大きさがわからないのも無理ないと思うけど、お給金から出してる人、まともな精神状態なの?って心配してしまいますね。てか多分一部を除いてまともじゃないんじゃないかな。
まともじゃない、とは?
ヤク漬けみたいな状態と形容すればいいのかな。お金を出せば少しの間でも大好きな○○に相手してもらえると経験した人が、もっともっととお金をつぎ込んでいく。大富豪ならいいんですけどね。たいていは普通の暮らしをしてる人でしょうから、どんどん懐が寒くなってくる。それでも推しからのレスが欲しくてたまらないから、またスパチャを……って。お薬のスパイラルと同じだと思いませんか?
学校でよく教えられるダメ、絶対。のやつですね。
そうです。しかもこれヤク漬けになる可能性があるのはオタク側だけじゃないんですよ。Vがこうすればオタクからお金を絞れるって学んだら、必然的にそういうポーズをとることが多くなる。スパチャ待ちとか高額スパチャに対してだけレスポンスするとかね。
そうしてお金を介するやり取りが多くなると、必然的に面白い時間の割合が薄まっていく。その先に何が待ってるって、配信コンテンツ全体の自壊だと思うんです。
面白くなくなるから廃れていくという感じでしょうか?
はい。まぁ今のところ妄想の域ですけど、Vtuber界隈の外までこの流れが来たら、ありえない話でもなくなると思いますね。
そんな事態を招きかねない点も含め、肥大化した承認欲求だとかゆがんだ愛情だとか依存だとかを抱えた悲しいオタクの思いを金に乗せられるシステムも、それを扇動して稼ごうとする企業も、どうしても好きになれないんです。
運動しながらもよくしゃべる森久保さん。その目は怒りというより、憂いを感じさせるものだった。
PM8:00 森久保さんの自宅
結局この日一度も外出しなかった森久保さん。運動で疲れた体を休ませるため、座って音楽を聴いている。
何を聴いてるんですか?
フーバーオーバーっていう一昔前の女性ボーカルのバンドです。聴いてて心地いい声なんですよね。
音楽と言えば、Vtuberもよく歌を投稿していたりしますよね。
あぁ、確かに。生配信メインだけどオリジナルの楽曲CDを出してるVtuberもいますよね。結構有名な作曲家を付けたりしてるから出来もいいらしいし。
聴いたことは?
キズナアイの曲以外はありません。あと、に〇さんじとかホロ〇イブのやつはこれから聴くこともないと思います。アレらに金入れたくないので。
頑なですね(笑)
でなきゃアンチなんてやってませんよ(笑)。ただ、歌をメインに活動しているVtuber……バーチャルシンガーというべきですかね?これは例外で、機会があれば聴いていきたいなと思っています。
理由をお聞きしてもよろしいですか?
キャラクター性が歌に守られるからです。歌そのものがキャラクター性の表現になるから、中身の過度な主張がなくなるといいますか……ガワに引っ張られるでもなく中身に引っ張られるでもなく、キャラクターと仲の人がいい意味で一体化してると感じるのかな。そんな感じです。
なるほど。
ただ、生配信系のVtuberの歌ってみたは嫌いです。自分の好きなアーティストの一番有名な曲を数字目的の便乗に使われてたので。あの時はマジで不愉快でしたね。彼らも仕事だからとかそういうのを加味してもイラつきが勝りました。
この曲です。と森久保さんが我々に聴かせてきた曲は、youtubeでもよく再生されている超有名な秒針の曲だった。好きな曲なんですけど、いまだにあの時のイラつきを思い出してしまいますね。と、森久保さんは悲しそうに笑う。
ですがカバーと言えば、〇イマスでもカバー曲結構やってますよね?
痛いところ突いてきますね(笑)。おっしゃる通り、私の好きなアイマ〇も有名な曲のカバーを出してます。
でしたら、Vtuberのカバーにイラつくのは理不尽なのでは……?
「理不尽だからイラつかないようにしよう!」と思うだけで感情を抑えられる聖人なら、アンチなんてやりませんよ。それに、私はアイ〇スのカバーもそんな好きじゃないです。大体が原曲の劣化コピーなので。Vtuberのそれにも言えることですが、カバーをやるなら「そのキャラクターが歌っている」こと以外にも価値を付ける努力をしてほしいですね。アレンジするとか。まぁそんなことに労力使うぐらいならオリジナルの曲作るのに人員割けって話なんですが。
辛辣ですね。
そうでしょうか(笑)。でも多分、これは私以外にもそう思ってる人多いと思いますよ。
ただこれも結局、自分には合わないってだけなので、あまり口には出さないようにしてます。「あのキャラクターがあの歌を歌ってる」ということにかけがえのない価値を見出す人、結構見ますから。
not for meです。と森久保さんは言う。その姿は、我々に対してというより、自分に言い聞かせているように見えた。
PM9:00 森久保さんの自宅
そろそろ時間ですね。本日は本当にありがとうございました。
いえいえ、私も楽しかったです。ありがとうございました。
密着取材もそろそろ終わりの時間だ。結局森久保さんの自宅に居座っただけの我々取材班は、最後に森久保さんに本日のまとめをしていただくことにした。
今一度、なぜVtuberアンチになったか本日のまとめとしてお聞きしたいです。
まずもって生配信Vtuberの文化が自分には合わなかった。
しかもオタクの世界で爆発的に流行、定着したため、結果として自分の楽しめるものが減った。
それに対して「Vtuberに楽しみを奪われた!」という感情を持ってしまったためにアンチになってしまった。
これが私がVtuberアンチになった経緯です。
ありがとうございました。
今日一日でVtuberへの思いをぶちまけたからだろうか。森久保さんはどこか清々しい顔でそう言った。
苦手なものが大流行する世の中でも、強く生きていく。そんな「Vtuberアンチ」森久保さんの姿から、現代社会を生き抜くヒントが得られるのではないだろうか。
では最後に、この番組を見た方へのメッセージをお願いします。
わかりました。
この番組を見ているということは、あなたも少なからずVtuberに苦手意識を持っているオタクなのではないでしょうか?
私はそんなあなたに「安心して」と伝えたい。
Vtuberが苦手なのはあなただけではありません。
少なくともここに一人、アンチがいます。
おそらくこれからの時代、私たちのようなオタクにとっては生きづらいものとなる。
それでも手を取り合い、ともに生きていきましょう。
そしていつの日か、Vtuber事務所をひとつ残らず粉砕しましょう!
大丈夫!私たちならきっと、できるはずです!!
未来は我々の手の中に!!!!
【独占密着取材】 なぜ彼はアンチになったのか?Vtuberが救えなかった男達
~完~
あとがき
大変申し訳ございませんでした。それしかいう言葉が見つかりません。
まさかとは思うけどここまで見たVファンの方いないよね?殺害予告は受け付けておりませんのでご了承ください。
10000文字も書いたよ。卒論0文字だけど。ワロタ。
あと声を大にして言いたいのは、私はV追ってる、または追い始めたオタクのことが嫌いなわけじゃないです。コンテンツが苦手なだけ。だから事務所粉砕したい。
いうまでもないけど森久保さん(仮名)は僕です。収録されたっていうこと以外全部実話です。イメージはNHKのドキュメンタリーです。意味不明になったけど。
ここまでお読みいただきありがとうございました。さよならアンドロメダの方も読んでね。
↑こっちの方が平和な記事です。